いま学習体験デザイナー(LX Designer)が求められる理由

学習者(learner)を取り巻く環境の変化①

長期化する学びの時間

産業構造の変化にはじまり、私たちを取り巻く環境は急速に変わっています。2020年はコロナ禍の影響も加わり、外部環境の変化を体感する方も多いと思います。

これほどのスピードで環境が変わると、こうした時代に生きる私たち自身も常に変わりつづける必要があります。自身が若い時代に学んだ知識や常識が、通用しなくなることが増えるからです。

学びのモチベーションを保ちつづける必要性が高まっている

リカレント教育、という言葉を聞いたことはありますか。この言葉のはじまりは、1969年にスウェーデンの文部大臣 Palme氏がスピーチのなかで使ったことだと言われています。

リカレント教育の定義は、OECDが発行した「リカレント教育-生涯学習のための戦略-」という報告書にて、次の通りまとめられています。

生涯学習を実現するために行われる義務教育以後の包括的な教育戦略であり、その特徴は、青少年期という人生の初期に集中していた教育を、個人の全生涯にわたって、労働、余暇など他の諸活動と交互に行う形で分散されること

引用元:文部科学省HP 生涯学習の現状と課題(https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad198801/hpad198801_2_013.html

リカレント教育を実現する上で大切なことは、学習者のモチベーションだと考えます。何故なら、私たちは生涯にわたり学びつづける必要があることに加えて、これからは人生100年時代と呼ばれるように、私たちの生涯そのものが長期化するからです。

いやいや学ぶことは、決して長くつづきません。わくわく学ぶことが、学びつづけるためには必要です。

学習者(learner)を取り巻く環境の変化②

オンライン化する学びの空間

Ed TechやHR Techという言葉を聞いたことはありますか。両者はEducation(教育)やHuman Resources(人的資源)に Technology(技術)を組み合わせた造語です。

Ed Techは学校、HR Techは企業に関わることを示しますが、その領域は多岐にわたります。例えばEd Techの場合は、オンライン学習だけではなく、学習管理システム(LMS)、学校向けSNSの領域なども含みます。HR Techの場合も、人材育成(社会人学習)だけではなく、採用や定着支援、労務管理の領域などを含みます。

学習の領域に焦点をあてると、両者の目的は共通しています。オンライン化・デジタル化によって学習者の学びを効率的・効果的にしよう、ということです。

2020年はコロナ禍の影響により、リアルの授業や研修を通じた学びが制限されました。その対応として、学びのオンライン化・デジタル化のスピードは加速しています。この流れは不可逆的で、学びの空間はオフラインからオンラインへ、ますます移っていくと考えます。

学びのモチベーションを保ちつづける難易度が高まっている

学びの空間がオンラインになると、学びのモチベーションを保つことが難しくなります。理由は様々ですが、例えば、対面の講義と比べるとオンラインでは見られている感覚が希薄になったり、そもそも集中して学ぶことができる環境が自宅にないことなどが挙げられます。

多くの人にとって、何かを学ぶことは多くの集中力や体力を使うことで、これまでのオフライン環境でさえ難しいことだと思います。学びの場がオンラインになるということは、それだけ学びのモチベーションを保つことが難しくなるということだと考えています。

学習体験デザイナー(LX Designer)に求められる役割

楽しい学習体験を通じて、成果につなげること

学習者を取り巻く時間と空間の変化により、学びのモチベーションを保ち続ける必要性と難易度が高まっています。一方、自分ひとりで学びのモチベーションを保ち続けられる人は多くはありません。

だからこそ、学習者に楽しい学習体験を提供できる人が必要だと考えます。

また学習者が陥りがちな落とし穴として「勉強過多・成果欠如」が挙げられます。勉強の質を高めるためには、成果(学習者が達成したいゴール)を明確にすることが大切です。

一方、自分ひとりで、特に未知の領域においては、達成したいゴールを明確にすることは難しいです。だからこそ、学習者が何を達成したいかを一緒に考える人が必要だと考えます。

学習者を取り巻く環境(時間と空間)が変化している現代だからこそ、

■学習者に楽しい学習体験を提供すること

■学習を成果(学習者が達成したいゴール)につなげること

この2つの役割を担う学習体験デザイナーが求められると考えています。

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